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2012年8月21日火曜日

中国辺境の旅ー4

国際会議の終わった翌日、黒龍江省牡丹江でぼんやり考えたこと。

牡丹江は日本が中国を侵略し、日本政府の鳴り物入りで大量の日本人を
中国東北部に入植させ、そこで開墾させたところだ。敗戦を知らされた開
拓民達は子供や、乳のみこを殺すか中国人に引き取ってもらうかして生
死をさまよいながら帰国したものも結構いた。連れて帰れず大量の子供を中
国人に預けて帰国したものも数多くいる。牡丹江はそういう残留孤児の
多い町として日本で知られたところだ。
夏は結構暑いが冬は零下20度位になるようだ。都市としてはエネルギー
溢れたところだが、辺境地帯なのでどこか田舎風のところあり。

いたるところ所せましと近代的なビルがたちならび、人と車があふれか
えっている様子。朝の8時ころ耳をつんざくばかりの大音響。銃で殺し合い
でも始まったのかと思いきや、なんとそれが結婚式の祝意を表す大音響
なのだ。
-どうも中国人と日本人では音の受けとめかたが違いが有り過ぎのようだ。
あんな大音響は美しくも、風情があるとも少しもおもわないが、中国人には
いいようだ。やはり国土が広いと音の感受性が鈍くなるのか、これでは秋の
鈴虫を愛でる日本人の感性とは違いがありすぎるようだ。

美意識も違うよね。アスファルトの道の真ん中で堂々とお尻丸出しの子供
におしっこやウンコをあちこちさせ、そのままだったり。ギヤフンだ。最も馬
車も時々走っているので馬糞を道路に落とすことになれているのかもしれ
ない。

牡丹江の有名ホテルで朝飯を食べた時だ。相席になった円卓の向こうに
座っている年の頃、40歳くらいの小母さん、雨に濡れた傘を平気で我が
鼻先の円卓の上に置くのだ。こういう感性信じられる?

ついでに言わせてもらうとハルピンで時間の合間を見て乗り合い観光バス
に乗ってみたら結構和やかな、人のよさそうなおのぼりさんばかりですっかり
友達になったが円卓を囲んだ食事でビックリ仰天。骨つき鶏の骨は円卓に
じゃんじゃんホキ出すはエビのカラは吐き散らし、魚の骨も円卓にまき散らし
たようにだすわ。驚き、思わず顔をそむけた。こういうのは許容範囲なのか?

昔フランスのルイ王朝時代には貴族が食事時何でも食卓のまわりにほき
散らしたというが中国の地方都市でもいまだにこうなのか?今まで付き合った
中国人でそんなのはいなかったな~とぼんやり考えこんでしまった。これから
の中国人は食卓マナーも大事だ。段々金持ちの国(?)になるのだからゆとり
ある生活の美しい所作も大切だ。

この点日本の茶道はすごいね。単なるうわっつらの所作の美しさを追求する
のではない、深い仏教哲学がこめられた精神性の高い文化の象徴なのだ。
そして茶をたてる所作はきわめて合理的で無駄がない。

あらためえ牡丹江に行って茶道のことなどがふっと頭をよぎってしまった。
小学生だった頃、母に稽古をつけてもらっていた頃、あんなに茶杓は
拝見に出すときには畳何目とか、厭で厭でたまらなく反発していた。
でも今になってその良さがしみじみわかってきたのだから皮肉なものだ。

とにかく日本人はミクロの世界だ。ミニチュアベアリングだの、ナノだの
半導体だの得意中の得意。だから細部にこだわり過ぎ、大局観を見失う。
この点では大局観を持てる中国人とは大いに異なる人種だ。

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