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2011年12月10日土曜日

現代ロシア社会と政治 -1

ロシア下院選挙が12月4日行われた。
 イタル・タス通信社アジア太平洋総局長・元東京支局長ワシーリー・ゴロブニン氏は、プーチン不人気の原因の第1は経済・社会的な停滞で、多くのロシア国民が不満を抱えているという。給料が一向に上がらず、一方では物価が高騰し続けているインフレ傾向のなかで、官僚の汚職はなくならず、社会的格差が広がりつつあることだという。ウズベキスタンなど中央アジアから労働者が大量に流入し、彼らの犯罪が増え、ロシア人との社会的、文化的な衝突を起こしている。一方で、ロシア・ナショナリズムの高揚があり、プーチンもある面ではこのナショナリズムを利用してロシア正教を巧みに使っている。外国労働者とロシア人の間で傷害事件が度々起っている。

 北カフカスの問題では、チェチェン戦争を終結させたのはプーチンの功績の一つだが、カドイロフ政権のチェチェンが独立国家のような振る舞いをしていること。中央から巨額の補助金をもらいながら、イスラムの法にのみ従うというありさまで、クレムリンもほとほと手を焼いている。
インターネットを見ると、プーチン攻撃が強まっており、反プーチンの色彩が強い。

 
 ロシアの世論調査機関「レバダ」の最新調査(11月11日)では、「プーチン首相の仕事ぶり」に対して肯定的(支持する)と答えた回答者は67%、否定的(支持しない)は32%、回答なし1%だった。プーチン支持率が昨年2月、5月は80%だったころに比べると明らかに低下傾向にある。否定的な回答も、20%台から30%台に上がっている。
11月20日にモスクワのオリンピック・スタジアムで開催された異種格闘技大会会場で、米ロ選手の試合でロシアの選手(日本のリングにもしばしば登場してなじみのあるフョードル・エメリャネンコ)が勝った後、リングで挨拶に立ったプーチン首相が観客から大ブーイングを浴びせかけられたことはすでに知れわたっている。プーチン人気の衰えを垣間見ることができる。

 ロシア最大の実力者で来年3月の大統領選挙では当選確実が既成事実といわれるプーチンの不人気の理由は何か。多くの国民はプーチン政治に飽きており、新しい指導者を求めているのだ。しかしプーチンに対抗する有力政治家はいないし、現れそうもない。
 プーチン人気の陰りに比例するように、次回選挙での与党の議席減少が予測されるが、それでも6割以上の支持率は保全されるであろう。

 
 ツイターで報じたように、前記レバダの11月11日調査によれば、7%条項(全投票数の7%以上の得票)を突破し議席を獲得しそうな4党の支持率の内訳は「統一ロシア」56%、ロシア共産党21%、ロシア自由民主党13%、公正なロシア10%だった。予想される議席(450)の割り振りは、それぞれ、253、94、59、44となっている。これは、「統一ロシア」の現有議席315を62議席も大きく下回ることになり、憲法改正に必要な3分の2(300議席)に達しない。
 前回07年12月の選挙では、「統一ロシア」は64・30%だったのに対して、直前の世論調査(同じレバダ実施)では、支持率66%となっていた。つまり実際の得票は、予想を下回っていたのである。今回も、実際の結果は予想支持率を下回る可能性があると予想される。

  下院選挙での与党「統一ロシア」の苦戦は予想される。支持率低下になると、選挙戦を仕切るメドベージェフ(同党の比例代表名簿筆頭候補)の責任になること必須。
                               

2011年11月19日土曜日

サハリン紀行ー7

コルサーコフにはバスで行ったが、途中の景色はあまり変わらない。バスの方が、森の中をかき分けた道を通過したということか。コルサーコフはサハリンでも南部だから
やわらかく暖かい陽射しで10月にしては温暖。食事も野菜や果物が多く使われ美味しかった。海岸風景も開けていて清々する光景が広がる。

サハリン紀行ー6

サハリンは地図で見るとわかるが、南北縦に細長い。従って北の方はかなり気候が厳しいのだ。10月初旬でも雪が降り始めている。写真はユージノサハリンスクから陸路12時間かけて終点アレクサンドロフスクにたどり着き、朝食にありついた簡易食堂。”白樺”とロシア語で書かれた看板が無造作につっ立っている。中は簡素だが、衛生的なただずまい。昔に比べれば随分清潔になったもんだ。ふつうこの手の安食堂だと薄暗くて、ゾローとした感じだが、ここは思いっきり明るくきちんとしている。石油掘削でここを訪れる外国人の好みを学習したのだな。概してロシア人は衛生には無関心。昔から主婦は意外とだらしないのが多いのだが。
食事はふつうのロシア人が食べるマーンナヤ・カーシャ(ロシア風お粥)とバターと白パン、紅茶のそっけないもの。今回サハリンを訪れておいしい黒パンには一度も出会わなかったのは残念。私が好きなのはオルロフスキー黒パンとドクトルスカヤ・カルバサーだ。

サハリン紀行ー5

サハリン北部アレクサンドロフスクのドウエ海岸の番小屋で楽しい乾杯風景。
もちろん酒はサハリンで生産されているウオッカだ。研究者が用意した黒パンと自家菜園のきゅうり、ハムのブッチェルブロード(オープンサンドイッチ)。
豪華な食事でなくともこういう素朴なもてなしを精いっぱいするのがロシア人気質だ。
私は何十年もこういうロシア人気質に惚れ込んでスラビストを続けている。

2011年11月18日金曜日

サハリン紀行ー4

サハリンーチエホフ博物館の流刑囚の部屋の再現室ー当時の部屋をそのまま忠実に再現されている。粗末な木のベッド、その他画面では見えないが5キロ以上ある足枷など細部にわたり再現されている。

2011年11月13日日曜日

サハリン紀行ー3

サハリンに住むロシア人の世代間格差は想像を絶する。何についての世代間かと言うと知見と教養の差であろうか。1991年を境にして断絶があるようだ。即ち40代の人々の教養度と20代のそれとは格段に断絶があるようだ。20代の連中はサハリンの天然ガス開発のさなかに生まれた連中でアメリカの新自由主義に毒された連中だ。教養もないし、世界認識の方法論が確立されていないから、外部の金銭的価値でものを判断しがちだ。それでよく街の広場の中央にレーニンがあっても違和感を感じないだろうね。不思議だ。子供のころから見慣れているから、違和感もない代わりに特別の感興もわかないのだろうね。戦争と平和に出てくる有名な将軍の名前の付いた高級レストランー確かバグラチオンだったか、そのレストランの若いボーイでも自分が勤務しているそのレストランの名前の由来がわからないのだから呆れる。ただ時間給何ルーブルもらえるかのほうがずっと興味があるのだろう。まさにアメリカの新自由主義が遠く離れたこの極東の地で跋扈しているのだ。小学校の校長30代後半の女性にコロンタイについて論じようとしても彼女は論ずることができないのだ。何故?知らないからだ。モスクワから遠く離れているからそんな知識にありつけないという始末。いい加減にしろ。知識を得るのに空間的格差はないはずだ。これでは女性の問題と初等教育を論じたくともロシアの女性教育に影響を与えたコロンタイの知らないのではお話にならない。がっかりした。

2011年10月17日月曜日

サハリン紀行-2 

ユージノサハリンスクはサハリンの首都だ。最新モードのスーパーと郊外にみられる

素朴な木造のロシア風の家が混在している。物資は市場経済に移行してから豊かに出回っている。市場も所せましと物品が飾り立てられている。レストランも果物、野菜など
豊富に出すようになった。ただ昔のおいしい黒パンなどはお目見えしない。白いパンか、やや茶色のパンで興ざめだ。昔ながらの醗酵ヨーグルトケフィールもスーパーでパック入りのしかない。レストランの厨房のシェフに頼み込んでケフィールを特別に出してもらったが、同行者が欲しがるので自分は少ししか飲めなかった。
道路もよく清掃されて街全体は落ち着きのあるリッチな感じになっている。面白のはそんな中にレーニン像ところどころあることだ。マルクス・レーニンをいまだに信望しているというより統制の利かなくなった人心の一種のよりどころとしているのだろう。ただし、中高年むきだろう。若いのは見向きもしないし、そのような教養を詰め込まれているとも思えない。

2011年10月5日水曜日

サハリン紀行-1 

サハリンで感じたこと。

教育の大切さ。ユージノサハリンスクのサハリン博物館でのこと。小学生と博物館の学芸員のやり取りを聞いていて参考になった。学芸員はただ説明するばかりでなく、小学生に区切りのいいところで必ず質問をし、自分の考えを発話させている点はとても大事な点だと思った。小学生は活発に手を挙げ、自分の考えをみんなの前でどんどん発表しているのだ。この訓練で人前で物怖じせず、どんどん発話でできとてもいいことだとおもった。日本人もただ暗記、丸バツでなく、自分の頭で考え、発話することの訓練をもっと幼児からやるべきだ。丸バツ、暗記のみで成績の点数のみこだわり、競争してきたのが今のエリート、官僚の類だ。そのテストの点数は上げることができても、全体の中での見通しや、考えをまとめ、俯瞰する能力ゼロ。近視眼的にしか日本の未来もみとおせないのだ。情けない!教育の方法を根本的に変えることが肝要。

2011年9月25日日曜日

野田政権の原発擁護と先行き (3)

第一号機の原発が放射能漏れで24日現在いつ水素爆発するかわからない状態。

原発作業員はお手上げでもう逃げ出したいといっているそうだ。国家の火急な状況。

原発作業員の実態は今まで伏せられていたが、最近ようやくその実態の一部が陽の

めに。その実態を数年原発作業所に身分を明かさず入り込んで作業員として働いた

ルポ・ライターの本が復刻された。30年前の実体験であるが、語りは簡潔で鮮明。

挿絵がなんとあの水木しげる氏によるもので生々しく秀逸。

『 福島原発の闇』 文;堀江邦夫  絵;水木しげる 朝日新聞出版 1000円

野田政権の原発擁護と先行き (2)

野田がオバマと会い、「高度に保全された原発なら当面それを保持し、他国にその原

発を輸出することも可能云々」と言及したらしいが、それはないだろう。福島一号機は

まだ収束どころか、いつ水蒸気爆発してもおかしくない状況で、作業員も逃げ出した

いと言っているそうだ。こんな状況でまだ何千人という人が仮設住居で避難生活余儀

なくされているのに恥を知れと言いたい。自国の経済のためには他国に無責任に危

険物を売っても構わないという論理は許されない。いっそのこともう早く退陣したほう

がいい。

2011年9月24日土曜日

野田政権の原発擁護と先行き

野田にはじめから期待していなかった。まず政権発足時に靖国神社参拝をしないと言

っていた前言を中国の手前、やんわりごまかしたこと、またG20に出席のため訪米して

オバマに取り入ろうとして躍起になっていることはけしからん!その挙句、普天間基地

の問題は早期に解決するというご託宣。沖縄の住民はそれに納得していないのだ。住

民の合意もなくてよくもそんなことをぬけぬけいえるものだ。そんなことを強行するなら、

大変なことがこれから起きるからこれから覚悟することだ!